74年発表の1st。元スキゾのリシャード・ピナスが結成したグループ/ユニット。「Ouais Marchais」のみが、そのスキゾ時代の曲「Le Voyareur」の別バージョンであり、同グループのメンバーの George Grunblatt (VCS3 Syn)、 Gilles Deleuze (vo、maisbelles)、Patrick Gauthier (p、VCS3 Syn)、Coco Roussel (dr)、Pierrot Roussel (b) が参加しているものの、他の曲では「Nothernkand Lady」にリズム・ギターで Alain Renaud が参加している以外はピナス一人で録音されている。
1.はかなり硬質なトーンのシンセサイザーによるメディスン・ミュージックでドイツの音響系のグループに近い雰囲気。2.はシーケンス+ロング・トーンのシンセサイザーにエレクトリック・ギターを加えた演奏で質感は異なるがフリップ&イーノあたりの腺に近い曲。ただしこちらの方がメロディアスで曲としての完成度は高いと思う。3.は一変してギターのアルペジオにリード・ギター、シンセサイザーを加えた美しい曲で、スティーヴ・ヒレッジやアシュラあたりに近い印象の曲。瞑想的ではあるが、ポップな要素も強い。4.は先のスキゾ時代の曲。当然リズム隊を加えたバンド演奏だが前後の曲に違和感がないほどほとんど同じ作風を披露している。ただしこの曲はギターのリフをベースにして展開している。
抽象的なようでいて意外と印象に残る曲が多い。多くの曲はドイツの音響/プログレ系のグループやイーノなどの影響下にあるものだが、使用されているシンセサイザーのトーンの乾き方に個性を感じる。またクラスター系のグループ/アーティストに比べると起承転結があって親しみやすいのもポイント。トータル的にも良く出来ており完成度は非常に高い。
CD化に際して3rdアルバムの『It's Always Rock'n'Roll』と抱合せて2枚組で発売されたものなど違う形態のものがあるので購入の際は考慮が必要。