E.B.T.Gのトレイシー・ソーンが在籍したマリン・ガールズの81年と83年のアルバムの2in1。
E.B.T.G及びトレイシーとベンのソロアルバムには、ネオアコが持つポスト・パンク的な質感がほとんど感じられず、もしかしたら全く違う文脈から現れた人たちなのかとも思ったが、このソロ以前に組んでいたバンドの音はまさしくポスト・パンク的な音で、やはり大きな流れとつながっていたということが確認できる。トレイシーのソロと大きく違っているのは、ここにはメロディ志向がほとんど感じられないということだ。これは、むしろスリッツやレインコーツなどの女の子ニューウェイヴのサウンドとかなり近いと思う。もちろんヤング・マーブル・ジャイアンツも。
そういう当時の流れのなかでやっていて、さらに自分のやりたいことを見出し、メロディの美しさへと向かったのが、トレイシーのソロなんだと思う。そういう資料的な価値として、このアルバムは聴けるが、単独でフルににこれを聴くとしたら、二枚分だしちょっとダレるかなと思う。