この曲を初めて聴いたのはTVで何かの深夜番組かあるいはその間のCMでサビの部分だけちょこっとPVで流れたのが最初だ。
ホンの数秒だったはずだが、それこそ“イナズマ”に打たれたような衝撃が走ったのを今でも覚えている。
私は小学生低学年から高学年にかけて歌謡曲→テクノ→ビートルズ、中学時代はニューロマンティック→洋楽ロック・ポップス全般、高校に入ってストーンズ→邦楽ロック(BOOWYやPersonz他色々)、大学以降はR&BやHIPHOP、ダンス・ハウス系(洋から徐々に邦へ移る)と渡り歩いてきたが、その数秒のPVにはそれら全てを融合したような強烈なインパクトがあった。
確実に裏打ちされたブラックなリズムとうねるようなグルーブ感の上に邦楽独特のメロディライン。当時は林田健司というアーティストをまだ知らず「何だ今のは!?こんな曲を演ってる日本人アーティストがいたのか!」と・・・。
当然あのアイドルグループによってこの曲が全国的に広まるよりもずっと前だ。
それから林田健司というアーティストを貪るように聴きまくった。そこで前述アイドルグループにそれまでも楽曲提供していたり、少なからず繋がりがあることは分かった。それ自体は否定もしないし、むしろあれだけの国民的アイドルなのだから林田自身の知名度も上がっていいじゃないか・・・くらいに思っていた。
しかし後に、この曲を彼らがカバーする事を知った時は正直ショックだった。残念…という意味でのショックだ。
彼らのドラマやバラエティ番組等で見せるパフォーマンスは決して悪いとは思わないし、もちろん私自身アンチでも何でもない。むしろ好感を持っているくらいだが、歌唱という面だけにおいては、それまでの彼らを見ていても正直拍手を送れるものではない。(どちらかと言うと「ん〜耳には厳しいな…」と。まあ、それは本人達も認めているようだし周知の事実だろうが)
林田の歌唱力・表現力をもって歌う“青いイナズマ”と彼らのそれとでは到底比較にならないのだ。
そういう意味でこの曲を彼らがカバーする事で、この曲が持つ本来の価値が下がってしまうような気がしたからだ。
彼らによるヒットでこの曲が多く認知され「原曲はどんなだろう…」と思って林田バージョンを聴いてくれたらしめたものなのだが、おそらく世間の大半の人はアイドルグループの歌う“青いイナズマ”だけしか知らない、というのが現実なのではないだろうか。
そのヒットの前には林田健司の“青いイナズマ”という「本物」があるのだという事を多くの人に知ってもらいたい。
今聴いても色褪せない珠玉の名曲である。