私はオンタイムでこのアルバムを聴きました。
ファーストからサードまでが相当好きなので
それと同じ路線を期待していました。
しかし聴いてみると
アルバムの雰囲気はソフトな印象でした。
1曲目は確かに元気のあるナンバーですが
それでも前作までと比べたら
大人しく聞こえてしまいます。
プログレ好きな私が当時唯一気に入ったのは
“Area 28”だけでした。
リリース時のライヴにも行きましたが
サードリリース時の時のほうが
面白かったかもしれません。
それでも何度か足は運びましたが
そのうち行かなくなってしまいました。
当時の私は
デビュー作からサードまでの音楽性こそ
Fragileらしさが溢れていると思っていて、
そればかりを求めていたのでしょう。
その頃からかなりの年月を経て
再びこのアルバムを聴いてみました。
なるほど確かにサードまでと比べると
穏やかな感じはしますが、
技巧をひけらかすのではなく
歌心のある綺麗なジャズではありませんか。
聴き手の私も長年の間に変化していて
派手な曲だけでなく、
さまざまなアプローチを
受け入れられるようになっていたのでした。
聴き心地のよいオシャレなジャズが聴けます。
そのオシャレさはセカンドの
“Handle with Care”や “Discus Discussion”
などのオシャレさとは違うのです。
これは邪推ですが、
メンバーが違ったアプローチを試みようと思ったのか、
はたまたメジャーデビューしたことにより
会社からあまり複雑なプログレをしすぎないように言われたのか…。
それはわかりませんが、そう思ったのは、
元Loudnessの二井原と樋口が組んだバンド
Slyのサードアルバムを聴いた時のことを思い出したから。
プロデューサーから
曲が複雑すぎて売れないと言われて
アレンジを変更した話を聞いていたからです。
まさかFragileはそんなことはないと思いますけれど。
さりとてよく聴くと、
穏やかになったとはいえ
メンバーの演奏力と
曲の構成の緻密さは相変わらずで、
やはりただのジャズフュージョンではなく
プログレしてるよなぁと感じます。
サードまでも、私は昔は
一般的なフュージョンと
同じように聴いていましたが、
改めて聴いて、普通のバンドより
よほど複雑な音楽をやっている
ド派手で硬派なバンドだなぁと思ったのでした。
それでもやっぱり私はデビュー作から
サードアルバムまでが大好きですね。