当時、音丸さんは、日本の歌謡界に彗星のごとく現れて、市丸さん、勝太郎さんを向こうに回して、次から次に大ヒットをはなちました。
「市勝時代」に対して「音丸時代」と呼ばれました。
音丸さんは、芸者歌手ではないんです。詳細は省きますが、下駄屋のおかみさんでした。 このCDは解説も充実していて、その辺のこともよくわかりますし、素晴らしいです。
収録されている歌も本当に素晴らしい。
私が特におすすめしたいのは、
「潮来追分」「米山三里」「桜ちる夜に」の3曲です。
いま、こんな歌を歌う人はいないのではないでしょうか。
いずれも、節回しが細かく、まことに難しい歌なのに、音丸さんは正確に、かつ情緒たっぷりに、こぶしをころころまわしながら美しい高音で歌っていて、見事なものです。楽曲時代がとっても素晴らしいんです。
音丸さんは、和洋折衷の伴奏で、民謡もたくさん吹き込みました。
「炭坑節」「関の五本松」「男なら」「安来節」「五木の子守唄」
「大島節」「鹿児島浜節」「木曽節」などです。
このCDには「男なら」が収録されていますが、他の歌も、機会があったらぜひ聴いていただきたいです。