1983年に LP で発売されたルパン三世のジャズアレンジ・アルバムを、1993年に CD化したものです。
今日では、作曲者自身の大野雄二がジャスに編曲・演奏した『LUPIN THE THIRD JAZZ』シリーズが人気を博していますが、本音盤はそのシリーズよりも前に、作曲者以外の方々が編曲し、演奏したものです。
ですから、いわゆる「本家」ではありません。
しかし、これが何気にうまい!
「うまい奏者ほどむつしい部分もサラリと演奏するので、ごく普通に聞こえる」とよく言いますが、この音盤もまさにそんな感じ。ジャズとしては本家よりこちらの方が洗練されていると言えます。
ご本人の編曲は、どうしてもアニメのサントラを原曲としていることがありありとわかってしまいます。作曲者自身であるが故の宿命でしょう。ファンにとっては、そこがまたうれしいところだったりするかもしれません。
一方、こちらは気持ちのいいほど原曲から脱却して、ジャズへと変貌させています。
ドラムがしっかり刻みを入れ、様々な楽器が入れ替わり立ち替わりバッキングを務める。…本家に慣れてしまった方には過剰に感じられるかもしれませんが、非常にしっかり作られています。
ドライブのお供に、うってつけの一枚です。
私は最近になってその存在を知りましたが、1980年代、日本コロンビアが『Jam Trip 1800 Series』と題してアニメのサントラをジャズ化したアルバムを20枚ほどリリースしていたようです。
当音盤はそのシリーズの一枚。
Amazon内にも、キャプテン翼、タッチ、うる星やつら、マクロスなどがアップされています。
キャプテン翼やタッチのジャズ版って一体どんなものなのか、ちょっと想像がつかないですね。
パーソネルを見ると、豪華なメンバーで編曲やセッションを行なっていたようです。
今日では、こうした音盤は忘れられ、埋没してしまっています。
手を抜かずに作ったこうした音源が多々あると思うと、なんとももったいない気がします。
いつの日にか、このシリーズをまとめて聴いてみたい。…そう思わせるだけの力がある『ルパン』です。