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チャーリー・パーカーはモダン・ジャズの基礎を築いた人。百年に及ぶジャズ史の中でも5指に入る天才だが、1955年に34歳で亡くなった。半世紀以上も前の録音のため彼の演奏をクリアなサウンドで聴くことは難しい(近年かなり改善された)が、録音の悪さなどまったく問題にならないほど、チャーリー・パーカーのジャズは今聴いても素晴らしい。
サヴォイ・レーベルでの録音は、ビバップを確立していく過程や、その中で参加する数々の巨人たち、特にマイルス・デイヴィスの最初期の演奏を収録している点が重要である。エンターテイメントの入ったタイニー・グライムスのサイドを務める初期の演奏から、ディジー・ガレスピーとの双頭クインテット、若きマイルスを抜てきしあのバド・パウエルも参加したオールスターズ、ジャズ界の頂点に達したレギュラー・クインテットまでの充実した4年間の演奏がまとめて聴ける。マイルスをリーダーにしたセッションでテナーを吹くパーカーも珍しい。
晩年のヴァーヴ・レーベルへの録音は鬼気迫るという意味で凄いが、サヴォイには絶頂期が記録されている。(高木宏真)
メディア掲載レビューほか
3月10日のチャーリー・パーカーの命日に併せ、サヴォイ・レコードに残した全録音から編纂した2枚組。 (C)RS