一見、アルバム・タイトルからは「癒し系和風インストゥルメンタル」という感じのクソ詰まらない音楽を連想させられるが、中身は日本の囃子や民謡の節回しを取り入れたぶっとい音が収まっている。バークリー出身の鍵盤奏者である佐藤氏がキャリアの中で考え続けてきた、アメリカ人のモノマネではない「日本発のジャズ」をインターナショナルなものに昇華させるグループとして組織された「ランドゥーガ」だが、本盤ではリズム系楽器の奏者が多数参加していることからも分かるように、アフロ・エスニック風の緻密なリズムの上に歌われる和風旋律が印象的だ。
この手の知的コンセプトで作られた作品は上手く作曲・演奏すればする程、上品さ・スノッブさが鼻につくことになりかねない危険性があるが、梅津和時・峰厚介・土岐英史3氏の野太いブロウが良い意味で雑種の野性味のような力強さを通わせてくれている。ジャズやインストゥルメンタルといったカテゴライズが不可能な音だが、敢えて言うなら「ワールド・ミュージック」と僕は言いたい。個人的にはシンセを使わずにピアノだけで勝負した方がよりパワフルになったと思うので、星は一つ削った。