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『祈り』のシングルヒットで正統派バラードシンガーとして期待された小林が発表した2作目は、周囲の想像を超えた実験的な作品だ。前衛音楽を思わせる不思議な旋律、美しいメロディーを奏でるピアノにノイジーなギターをかぶせたり、ギターのチューニング音を曲に仕上げたりしている。 本作には盛りだくさんの試みが詰め込まれ、小林の「音楽への好奇心の結晶」ともいえる。マニアックな層を狙った作品のようでもあるが、本人は「一般リスナーに聴いてもらえるよう、できるだけわかりやすく作ったつもり」という。ヒット曲『祈り』も収録。(板山美枝子)
ヒット・シングル「祈り」でオリコン・チャート上位登場、テレビ出演と一挙に全国の顔になった小林建樹。ほか「青空」「SPooN」など全10曲収録した待望のセカンド・アルバム。 -- 内容(「CDジャーナル」データベースより)相当に過剰な激情の持ち主だというのは確か。持て余しているのか飼い馴らしているのかは微妙だが、たとえば、あふれ出る感情が正統的なメロディから事あるごとにはみ出る様は、この非凡なシンガー・ソングライターの重要な個性といってよい。そこが評価、というか好き嫌いの分岐点。セオリーに忠実に手堅くまとめたデビュー作、あれはなんだったのかと言いたくなるような変わりようなのである。変態なのかと問われればまあ違うのでしょうがならば尋常なのかと言えばどうやらそうでもないとはおかしな話だ。「祈り」はスキー場のしかもナイターで聴きたいしっとりとしたバラードであるが、残りの大半はニッポンのじっとり汗ばむサマー・シーズンを体現したかのようななんとも奇妙なテンションというのもいと可笑し。“邪魔すんなよ カッコ悪くて 前に進むのが こわくてしかたないよ”と吐き出す「トリガー」が個人的にはハイライトである。いら立ちが嘘臭く響かないというのはひとつの美点だ。 (平野敬三) --- 2000年07月号 -- 内容 (「CDジャーナル・レビュー」より)
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