ブリュッヘンの18世紀オーケストラというのは常設の楽団ではなく、年に二回、世界中の演奏家がブリュッヘンのもとへ集まってきてやりたい曲だけをやるーという、いい意味でのアマチュアリズムに溢れたオケだそうです。 このCDに収められている第四十一番ですが、溌剌とした素晴らしい演奏だと思います。 特に第一楽章とフィナーレはすごい。 いつでも演奏できるんだからーというような意識ではなく、今この一瞬にかけるーという清新な息吹が満ち溢れている演奏だと思います。
しかし四十番の方は、そういう意味でのアマチュアリズムが成功しているのかどうかわかりません。 この曲はこれまで、とにかくロマンティシズム、哀愁に満ちた旋律−というイメージが根付いている(別にそうしなければならないーという決まりがあるわけではないのですが)ので、この演奏のように気迫で一気に駆け抜けるーというやり方では今ひとつ何かが欠けているような気もします。 もし哀愁の四十番、気迫の四十一番というふうに緩急をつけた演奏を聴かせてくれたなら、このディスクは古楽器演奏によるモーツァルトの記念碑的一枚になったのではないかと思います。