ヴィヴァルディやヘンデル以来のパストラールの音楽が、ベートーヴェンによって、フランス革命後の19世紀に再び花開いた。
その音楽の背後の精神の自由!!
第5番では都市の革命を高らかに肯定したベートーヴェンは、対照的にこの第6番では、変わらぬ民衆、農民の生活を大らかに賛美したのだろう。いわば穏やかな、先駆的「ヴ・ナロード」。
ブリュッヘンと18世紀オーケストラの演奏は、穢れなき民衆への讃歌、そんな第6番が生まれた時の清新さを蘇らせてくれた。そして決してこの音楽が過去の遺物ではなく、今日の我々が引き継がねばならないものがある事を思い出させてくれた。