1980年5月24-26日、スイス、ラ・ショード・フォンで録音。ピアノはエレナ・バシキローヴァでこの時はクレーメルの妻。現在はダニエル・バレンボイムの妻である。二人の息はばっちり合っていてこの当時の仲の良さを表した演奏になっている。
ちょうどこの頃というのがクレーメルがストラディヴァリウスを手に入れた時期に当たっていて、本アルバムでもそれを使用している。自身を完璧に表現できる名器を手に入れた歓び、そしてそれで表現できる音楽の多様さを試したいという気持ちがここでの選曲に現れている気がする。特に、ラヴェルの遺作であるヴァイオリン・ソナタの演奏が素晴らしい。クレーメルのエスプリに満ちた演奏に何度も唸ってしまう。
それ以外のサティやプロコフィエフも名演である。ただただ今廃盤なのが残念だ。