ここに収録されているのは、Mozartが作曲したピアノ協奏曲でも指折りの作品である1784年作曲のK.453ト長調協奏曲、そしてBeethovenが25歳くらいで作曲した第2協奏曲作品19の2曲で、録音は1960年であるとされている。ピアノ独奏はフリードリッヒ・グルダで、1930年生まれの彼はまだ30歳になったばかりである。
パウル・バドゥラ=スコダ、イェルク・デムスと共に、三人組(”三羽烏”と言うのは、日本語の習わしらしい)と呼ばれるようになったのも、20歳頃にカーネギー・ホールでデビューした頃かららしい。一方、20代からジャズにも進出し、ピアノだけではなくバリトン・サックスも演奏するようになっていった。またジャズ・ピアニストのチック・コリアとMozartの「2台のピアノのための協奏曲」も演奏している。奔放なグルダだったが、アルゲリッチとアバドと言う音楽家と師弟関係があったことは忘れてはならないだろう。またMozartと没した日が同じだったと言うのも、彼らしい。
まだ30歳だったグルダだが、この頃は不思議な装飾音も付けずにMozart、Beethovenを演奏している。