この曲は、デュメイとピリスのものをまず聴いた。彼らの場合だと、抑制された、楚々とした感じの
ブラームスで、それが逆に、彼の心情の切実さをあぶり出す名演になっていた。それに比べてムローヴァの
ものは、弱音部はしっとりとしているが、フォルテになるとロマン派特有の爆発があり、激情タイプと言える。
デュメイのものを聴いてこちらを聞くと、この曲はこんなに激しいものだったのかと驚く。
マイク・セッティングも、かなりオンな状態で、楽器に近いことを、うるさく感じる時がある。それとこの
ピアニストとの組み合わせもベストな選択だったのか、チグハグに思えるところがあり疑問。
だが、やはりムローヴァのヴァイオリンには、独特な音色と華やぎ、思索する内向性があり魅力的。