言い古された表現かもしれませんが、ジュリーニの音楽を聴くと巨大なタペストリーを感じます。近くで見ると1本1本の糸の色、艶、太さなどから織り上げた職人の息遣いが伝わってきます。全てを舐めるように見終わったあと、少し離れた位置から眺めてみると、そこには巨大な芸術作品が描かれており、私たちはしばし言葉を失います。
この交響曲第2番の演奏は、ウィーンフィルの各パートに個々の生命を与えて、それぞれが自分たちの役割を主張しあっています。勿論競い合うのではなく強調し合い、その一つ一つの音に酔いしれていると、いつの間にか巨大な音の波の中を漂っている自分に気付きます。ジュリーニとウィーンフィルという組み合わせでしかなしえない巨大な世界を、この演奏から感じ取ることが出来ました。