1997年、Bonnie Pinkの2ndアルバムです。
トーレ・ヨハンソンをプロデューサーに迎えての作品。
1stは、自由奔放・やりたいことをやったという感じで散らかった印象がありましたが、
今回は、“全体の統一感をグッと増しつつ、よくよく聴くと1曲1曲が個性的”、
Bonnieの個性とトーレのセンスが、うまくブレンドされた作品になってます。
THE BEATLESや60’s Popを思わせるキャッチーさと
70’s Rock / Folkを思わせる素朴で程よいザラつきのあるサウンドが心地良く、
まるまる1枚聴かせてくれます。
タイトルトラック(1) “Heaven’s Kithchen”は、Bonnieの代表曲の1つ。
”Hey Jude”のように堂々としていて、
”Knockin’ on Heaven’s Door”のように心に染み入る名曲です。
私が初めて聴いたBonnieの曲で、
今聴いても当時の感覚が甦るし、今の感覚で聴いてもやっぱりいい。
”懐かしい&エバーグリーン”な1曲です。
アルバム前半では、”Ciao, Ciao”の歌声が耳に残るPopな(3) 、
ドブロ?のカラカラなサウンドからBEATLES風なサビへ展開する(4) 、
Jazz Funk風(5)などが印象的。
そして後半。
本作は、有名な(1)ばかりが取り上げられがちですが、
長年付き合ってきた私としては、後半こそ聴きどころ、このアルバムの醍醐味だと思ってます。
のんびり気怠い雰囲気の(7)、BEATLESっぽさをあちこちに散りばめた(8)、
ラウンジ風でオシャレな(9)、沈むようなピアノの音がメランコリックな(10)、
Bonnie版”Strawberry Fields Forever”な(11)、という流れは聴き応え十分。
いささか強引とも言えるくらい様々なタイプの楽曲が連なりますが、
流れはよく、曲間が無い(9)~(11)は、一筆書きのように聴かせます。
Bonnieが次々と異なる音風景を見せ、聴き手は次々と異なる何かを思い浮かべたりする。
後半には、マインドトリップのような魅力があります。
そして、ラスト”No One like You”は、失恋ソング。
失恋とアルバムの終わり、Bonnieの哀愁とリスナーの哀愁が重なり合いながら、
このアルバムは幕を閉じていきます。
今になって聴くと、この曲の哀愁感は、
次作「evil and flowers」の哀愁感に繋がっている感じがします。
長年経って改めて聴くと、
”リリース当時からのいい”と”時間が経ってからのいい”とが、うまく交じり合って、
ホントに良い作品になったな、と感じます。
これからも長く付き合える1枚です。 名盤。