今ではベテランの実力派として認められた存在であるGRAPEVINE。
デビュー時はアイドルのような扱いを受けていたような気がします。

しかし、デビュー時から実力は本物であり、セカンドアルバムである本作はまさに傑作です。
｢スロウ」に代表されるように、非常に気だるく、陰気で、GRAPEVINEの世界観が詰まっています。
「白日」のような爽快なロックにも、気だるさが伝わってきます（一応褒めているつもりです）。

聞けば聞くほど、ボディブローのように良さが伝わる本作。
今更ですが、多くの人にその良さが伝わって欲しいと願います。

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L.F.

「気だるさ」が最大の魅力

2010年3月10日に日本でレビュー済み

99年、オリコン３位。
セールス面での絶頂期にリリースされ、バインとしては最大の売り上げを記録。
そして、おそらく、今までのキャリアにおける最高傑作。
今も良作を発表しているけど、これは越えられていない。

ファーストにあたる前作「退屈の花」の、どこか肩肘張った印象は薄らいでいる。
いわば、ローファイ感覚の付加。微妙な退廃感。
マイナーコードを多用しているためだろうか。
引き締まったグルーヴを楽しむというよりは、曲に漂う哀愁感をしみじみ鑑賞する、という感じ。
飽きが来にくい作品でもある。
内省的なストリングスの用い方が素晴らしい代表曲「スロウ」、
シンプルなアレンジで最高の泣きメロが際立つ「光について」、
本作ではめずらしく緊張感に満ちた「白日」など、
中核をなす曲は先行シングルに依っている部分が大きいが、
その統一感がすばらしい。

オルタナのサウンドとしては周回遅れだとしても、
それ以上に、全編に漂う気だるさや、投げやりな感じが白眉。
セールスの絶頂に達しようとするバンドの作品としては特異かと。
ひとり物思いに耽る時に聴くといいのかも…しれない。

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山崎真奈美

懐かしい

2021年10月31日に日本でレビュー済み

Amazonで購入

久しぶりに聞きました。車のなかで聞いているのですが、やっぱり良いなあと思いました。

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macco

まるで本を読んでいるよう

2013年4月28日に日本でレビュー済み

何度聴いたことか。何度聴いても新鮮です。このアルバムを聴いていると今現在、恋愛真っ只中の状態にいるような疑似体験をしている感覚になります。まるで本を読んでいるような。音、言葉全てが素晴らしい。

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saou

マスターピース

2009年2月7日に日本でレビュー済み

高校生の頃ハマっていて、最近ふと聴き直したら
やっぱりいいアルバムだと思いました。
私の個人的な一意見ですが、正直なところ、
「スロウ」は神がかり的なところがあって、
バインはいまだにそれを超えられていないような気がしています。
このアルバムはその「スロウ」を含めて、
GRAPEVINEの真骨頂が詰まっている一枚ではないでしょうか。
『Here』以降のアルバムも好きですが、
「光について」「白日」「望みの彼方」などが代表的なところで、
田中和将の描く世界観はこのアルバムで一度完結していると思います。
GRAPEVINEはこのアルバム抜きには語れないですね。

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たけ

望みの彼方

2010年7月9日に日本でレビュー済み

現在まで実に１０年以上良質な音楽を奏で続けている彼等ですが
初見の人に最初に勧めるならば？と聞かれたら間違いなくこのアルバムを押します
１〜４曲目までの流れ、そして終盤に流れる名曲｢望みの彼方望みの彼方｣
をぜひ聞いてみてください。絶対に損はしない出来ですから

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すてれお

胸にこみあげる静かなる慟哭

2006年8月21日に日本でレビュー済み

　彼らの音楽の中で、最大の金字塔。

　全体的に、やや気だるい感じがするクセのある１枚。
　独特なボーカルの歌い方、沈んだコード進行、ダウンビートぎみなドラム。
　Stone-washed という言葉がしっくりくるだろうか。
　個々は荒々しく力強いが、ざらざらした見た目よりも着心地は良く、なにより揺るがない頑丈さがある。
　そうやって創られた世界にのる、欝気味な詩がまた本当に恐ろしいのだ。
　孤独、後悔、自虐……過去から離れたいのに、抜け出せず無意識にすがりついてしまう弱い心への憤り。
　発散できない全ての感情がごちゃまぜに織り込まれた言葉は、真っ直ぐに心の真ん中を射抜いてくる。

　鳥肌が立つほどの名曲がずらりと並ぶ。
　それは決して、Singleだけではない。『スロウ』『SUN』『２５』『望みの彼方』……一枚に詰め込むのがもったいないくらいだ。
　その中でも、『光について』の圧倒的な存在感は桁違いだ。
　振り返ってしか分からないものの大切さ。
　落としてみないと気付かない時が、淡々と絞り出すような声で、音で、胸の中に広がっていく。
　イヤホンに心を委ねて、空を見上げると自然と涙が流れそうになる。

「やるせなさ」がいっぱいに漲った、会心作。
　音と詩の持つ力を知るものなら、一度聴いてしまえば素通りは出来ない。

　止まらない時の中ででも、足を止めて聴き入りたい世界がここにある。

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