他人には絶対知られたくない性的なファンタジーってありません?。それを一番知られたくない相手に知られた時の気持ち。あるいは、身内の情けない姿を耐え忍んでいる気分。この映画を観ている時の私の心境です。恥ずかしくって、わぁわぁ叫びながら手足をバタつかせていました。つまり、すごくいい青春映画なのです。
主人公はあんまりいけてないながら、芸術家肌の優しい少年。幼馴染の女の子が好きだけど、男として見てもらえないのがつらいとこ。そしてこの娘がなんともいい女なのです。まだ高校生なのに、懐が深い。美しいけれど素朴。芯が強くて情熱的。少年が音楽を志すきっかけとなったミューズ。
彼女になんとか振り向いて欲しくて、苦悩する姿は羨ましかった。いいなぁ、こんな気持ちを味わえるなんて。
オーストラリアの田舎で、少年が少女に恋する話がどうしてこんなに面白くなるんだろう。今のところ分かったのは、語りたい気持ちの強さです。それからテーマに対する深い愛。初めてで永遠の女性に捧げるオマージュだから。それに、主人公のありのままを、率直に示す勇気。彼を演じたノア・テイラーが素晴らしかった。こんな姿を人前で曝すなんてほんとに尊敬します。どことなくエレガントな立ち居振る舞いも素敵でした。名前を聞いてピンと来ない方。10年くらい前、「シャイン」で天才ピアニストの青年時代を演じた俳優です。
オーストラリアのアカデミー賞でほとんどの賞を攫っていった名作。青春を体験したい人にお勧めします。