![アンラッキー・モンキー [VHS]](https://m.media-amazon.com/images/I/51WAGK471ZL.__AC_SX300_SY300_QL70_ML2_.jpg)
人生にいきづまったインテリくずれの男が犯罪に手を染めたあげくの逃亡劇。
１０代の頃、映画館で見て以降、いまだに堤真一のベストアクトだと個人的には思っています。
欺瞞で塗り固めてきた、その自分自身によって追い込まれていくすがすがしいクズっぷりを好演＆怪演してくれます。
もともと役者出身のサブ監督が、昔から知っている俳優さん達を適材適所に配して作り上げた傑作『小市民サスペンス映画』。
清水宏・平泉成・寺島進・六平直政・大杉漣・堀部圭亮などなど、脇役おじさんランドのミッキーやドナルドやグーフィー達が総出演です。
特に田口トモロヲの登場シーン＆一発目のセリフまでのシーンはすばらしいです。
過去作の、弾丸ランナーはポストマンブルースは好きですがワンアイデアだし、逆にMondayはサブ監督自身が自分を見失って過剰に味付けしてしまっている気がします。特にMondayは下手なスパイクジョーンズみたいで悲しかった。
その点、この映画は、部分的には、タケシを中心にタランティーノやコーエンっぽいですが、大きなテーマとしては「人殺しは許されるのか」というとてもシンプルなものです。
自己を正当化しようとする主人公のモノローグは『罪と罰』のラスコーリニコフを思い出させます。
そのため、過去作のようなノリやセンチメンタルを期待すると、猛毒にやられる危険もあります。
重たいテーマを、名脇役とユーモアと演出のキレとポップなセンスでまとめあげた傑作です。
たしかにちょっと長く、くどいですが、愛嬌と思ってます。五億点！
