メディア掲載レビューほか
4月にデビューし、22歳になりたての彼が作った初めてのアルバム。ここには、変わりたい=前進したい自分となかなか踏み出せず迷っている自分という葛藤する両者の姿が、ギターをメインとしたストレートなバンド・サウンドに叩きつけるように刻みこまれている。とても正直な男だ。とても痛い男だ。それを照れもゴマカシもなくさらけ出す彼は限りなく熱血漢であり、限りなく純粋である。そしてそれが感動を呼ぶ見事なソングライティングの力で表現されており、このテのシンガーにありがちな勢いだけで説き伏せるパターンではなく、才能が伴っている証ともいえる。海太という本名、リリースは海の日、そしてアルバムの冒頭はわざわざ沖縄に出向いて録ってきたという波の打ち寄せる音からスタート──。そんなちょっとしたこだわりもまた彼らしい。結局つまずきながらもあの母なる海のように大らかな呼吸とリズムで彼は(そして我々も)日進月歩しているのだ。 (ささきまる) --- 1999年08月号 -- 内容 (「CDジャーナル・レビュー」より)
各種要素をとり揃えていながら、ルーツ・ミュージックに寄りかかるのを良しとしないその弾力性あふれる姿勢は、こんなにもカラフルなデビュー作を育んだ。マッチョな歌声と裏腹に展開される、丹誠込めて繊細に練り上げられたサウンドにはついついうっとりだ。
-- 内容(「CDジャーナル」データベースより)