1と7あたりを聴いて思い出したのは、ローリング・ストーンズです。実際、ストーンズの制作者がこのアルバムにも携わっているようです。そのあと、シャーデー、スライ・アンド・ザ・ファミリー・ストーンも思わせるし、90年代の踊れないクラブ・ミュージックに乗っているため、60年代のビートルズよりも柔らかくLSDの幻覚症状のようにサイケデリックな世界が展開されます。生楽器だけで演奏される8あたりも、意外な展開のように見えても、もちろん、実は、すでに7でロバート・ジョンソン作曲のブルース「Terraplane Blues」のカヴァー曲が伏線としてサンプリングされており、やはりストーンズ流にブルース志向。ところどころ、生楽器の音がリスナーの心をつかんできます。
ある種のごった煮、雑食性は、USのベック
オディレイ+19(デラックス・エディション)
とも共通する90年代の特徴のひとつでしょう。でも、このアルバムはやはりUKの美意識に貫かれている、と思います。
この日本盤には、歌詞・対訳がついているほか、新規にライナーが書きなおされています。