2007年3月にオーボエ奏者を引退し、2015年3月には指揮者としての活動も引退した宮本さんです。今でも、時折宮本ロスという気分に包まれています。この素敵な雰囲気が漂っているアルバムをじっくりと堪能して聴きました。
1996年の収録です。寺嶋陸也さんと山洞智さんがピアノ伴奏を務めていました。
リーフレットで宮本さんのコメントが収められています。楽曲については、佐々木節夫さんの解説が詳しく、これらの知られざる演奏曲を丁寧に紹介してありました。
ジャズを演奏しようが、クラシックを演奏しようが、宮本さんの抜けるような軽やかで美しい音色は特筆ものです。下の音域の響きも充実していますし、高音の抜けも良く、独特の音色は彼の強い個性です。なによりロングトーンの響きの美しさや弱音の音色には何回聴いてもゾクッとさせられます。
全曲に宮本さんの華麗で甘く伸びやかなオーボエが聴こえるのは当然として、珍しい選曲を名演奏で聴くことで、知られてない音楽と触れる機会になったと思っています。
どの箇所も丁寧にかつ軽やかに吹いていました。音色の良さがストレートに伝わってきます。少し前に突き出すような演奏スタイルが目に浮かぶようでした。
緩徐楽章のほうが、より彼の特質である響きの美しさを堪能できました。
オクターブの跳躍の音の抜けの軽いこと。巧みで華麗です。
引退してから10年以上経過しました。改めて引退は惜しいと心底思っています。