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中国に生まれ、現在はアメリカに居を移して大活躍する作曲家タン・ドゥンが香港の中国返還に際し、中国政府から委嘱された作品。ゴーン、あるいはカーンという音をたてているのは湖北省で発掘された紀元前5世紀の青銅製の鐘「編鐘」。65個が一組となり、本来は儀式のためのものだという。タン・ドゥンはこれを楽器として使い、ヨーヨー・マのチェロ、香港の児童合唱団、オーケストラと組み合わせて音の絵巻を作り上げた。子どもの声は香港の未来を象徴し、編鐘は中国の長い歴史を表す。チェロ独奏はその両者を結ぶ語り手という重要な役割を担っている。
音楽は中国と西洋の両方の要素を融合し、はっきりしたメロディーとリズムをもつわかりやすいもの。ピアノがジャズ的なハーモニーを付け加える部分もある。チェロがとくに大きくフィーチャーされるのは第2楽章。ここでは前後の楽章より抽象的な内容になっており、ピチカートの多用が印象的だ。(松本泰樹)
メディア掲載レビューほか
香港の中国本土返還を記念して正式に中国政府から委嘱された、中国人作曲家、タン・ドゥンの作品を演奏したアルバム。 (C)RS