1958年2月1&3日、ハリウッド、アメリカン・リージョン・ホールでの収録。リマスタリングが上手くいったようで、
古い録音ながら音質は良好である。ワルターのベートーヴェン交響曲全集は偶数番の曲の方が評価が高く、奇数番はあ
まり良くないという評価が定着しているが、この第7番を聴いてみてそんなに悪くはないと思った。オケのコロンビア
交響楽団(実態はハリウッドの映画BGM専門オケのグレンデール交響楽団)のせいもあってか響きがやや軽いのは致し
方無いのだが、老ワルターは肩ひじ張ることもなく、まるで古老が民話でも語るかのようにこの曲の曲想や魅力をし
みじみと語りかけてくる。フルトヴェングラーやクレンペラーやカザルスのような重厚さとも、またカルロス・クラ
イバーのような切れ味鋭い鮮烈さとも違う、ワルターにしか成し得ない「第7番」であろう。