1970年米映画で、バーブラ・ストライサンド&ジョージ・シーガル主演、ブロードウェイのお芝居の映画化だそうです。
ニューヨークに住む売れない作家志望の本屋勤めの中年男と、これまた女優志望の売れない女の子で娼婦もしている二人が出会って、二人ともアパートを追い出されたりして、罵り合いながらも惹かれあい、愛がなんとか芽生えていきます。
この映画は大好きな映画なので時々見るのですが・・・何回も見ると、いろんなことがわかってきます。元がお芝居だけあって、大体が二人の機関銃のような会話、言葉の応酬で成り立っているので、黙っている女性が好きな日本人には、嫌気がさすようですし、実際映画の中でもジョージ・シーガルが、バーブラにお願いだから聞いてくれ、とか、黙ってくれ、とか、言っています!バーバラの役どころは、まあ、学のない女の子、ということで、ののしったり、下世話な言葉づかいになったり・・・と、ちょっと最初は、面食らうのですが・・・
しかし、実際、それが、アメリカなのです!夢を描いて一人で苦闘していれば、誰も無償では助けてくれないし(と本人も冒頭言っています)娼婦になることもあり、娼婦にはありとあらゆる男が、人には見せない欲望のはけ口として、いろんな面を見せるわけで、その中で、見栄を張りつつ夢も忘れず何とか生き抜いていくことは、そりゃ、大変なことなのです!夢半ばで死んでしまうこともあるでしょう!
男のほうは曲がりなりにも書店で堅気の仕事をしてるので、まだ、そんなにとてつもない底辺の実態にはお目にかかっていないようですが、娼婦のドリスが、とても無邪気な性格であったために、自分が作家志望であるにも関わらず、人間の裏の裏、をまだまだ知らないなー、と彼女との会話で、気づくのです。
作家志望のフェリックスと知り合って、ドリスは、自分は知的な会話ができないなー、と思って、薬局で景品でもらったポケッタブルの辞書で、ボキャブラリーを増やそうと勉強するところが、なんか、とても泣かせますし、売れないフェリックスの小説の太陽が唾を吐いた、という一節を自分が太陽になったつもりで、演じてみせるバーブラもとてもかわいいです。
だいたい、夜中だろうがテレビがないと眠れない、と大騒ぎするドリスなんですけれども・・・自分のことでいっぱいで子供のようなのに、急に相手の立場を想像して気を使うこともできるし、プライドの傷ついた男性を癒すことも知っています。母のように子供のように、実にキュートな女性です。ドリスが大騒ぎする、なんて、うるさくはあるけど、そんなに重大な問題ではないでしょう。ま、毎日のことなら、方法を考えなきゃいけないかもしれませんが。
アパートでうるさくしたら追い出されるのですが、真夜中でも!!!放り出されるのです・・・・すごい!さすが移民の国、アメリカ!
アメリカで生きていくのがどんなに戦いで孤独で、その中で出会える愛がどんなに言葉に言い表せないほど奇跡的なものか、わかる気がします。
このドリスを演じたバーブラはやはりとてもうまいと思います。しゃっくりするときとかも!ジョージ・シーガルもすごい女優の相手役が多かったけど、トータルで見て、大した役者だなー、と最近わかってきました!日本で、こんなに、人物の魅力を中心に描く映画って、まだないと、思います。
ところで、音楽が、BSTです!ブラッド・スエッド・アンド・ティーアーズ!ジャジーなベースとブラスセッション、そして力強い男性ボーカルが歯切れ良いです。バーブラがダンサーで踊ってる時のバンドは、かれらなのかな?