レスピーギと言う人、イタリアでは、かのムッソリーニとの関係だとか、作風が古風過ぎるとかの理由で、必ずしも高い評価を得ているのではないらしい。
我々はかの地での歴史に対する係わりが少く、知識[場合によっては偏見]も少いので、寧ろ純粋に、その善し悪しを自分の好みによってのみ判断でき、味わえるのかも知れない・・・・・・が、初めて聴く場合でも、妙な懐かしさを感じさせる、この曲集の、何とも美しく楽しいことか。
[癒し]が求められる時代ならずとも、誰しも、疲れ倦み、しかし空元気であれ明るく生きて行かねばならない状況が有る。その時[癒し]には人様々の形が有るだろうが、これ程自然に心に滲み入り楽しく転換させてくれる曲も珍しいのではないだろうか。
私は例えばシベリウスの[カレリア]などに、それを求めて来たが、アレは強すぎるし、モーツァルトは甘すぎるし、と、今の時代(個人的な心情の差かも知れないが)に相応しい、そうした力の有る曲を捜して来たが、ふと巡り合った、このディスクで、言いようの無い歓びを感じている。
しかし----とてもこれが異国の曲で未知の物だったとは思えない程の懐かしさを感じ、思わずダンスのステップを踏んでしまうのは何故?----とりわけ、疲れ果て心も病みそうな時、聴きたくなり、心に滲みる名曲であり、優れた演奏だ。