桂枝雀を知らずして、日本のお笑いは語れない!日本の落語界にあって、独特なみぶり手ぶりによる芸風と、英語落語というまったく新しい分野を切り開いた桂枝雀。皆が同じ演目を競い合う古典落語の中にあって、独特の枕、ハイトーンの巻き舌による英単語、大げさに体全身を使ったアクションは、斬新でいて、なおかつ基本に忠実です。現在テレビなどで活躍中の上方のお笑い芸人の全ての基本が、ここに凝縮されています。崇徳院1986年1月15日『横浜高島屋ホール』にて収録落語『崇徳院』は、まるで上質の舞台劇を見ているような展開のある、きれいなラブストーリーです。この噺のように明治のころまでは高台にある高津神社からの眺めは市内随一で、もちろん道頓堀までひと目に見えたことでしょう。兵庫船1985年10月2日『大阪サンケイホール』にて収録枝雀落語『兵庫船』は、帆をはった船を表現する時の、「船は風をはらんで、矢のように、フーーーッ」と、着物の両袖を広げて、口に空気をプッと含んだ枝雀の可愛い表情が印象的です。