サムシング・クールはこの人の代表作です。ピート・ルゴロ楽団のおとぎ話の映画に出てくるような演奏をバックに、「テクニシャン」ジューン・クリスティが静かに、じっくりと、しかし、確実に、飲んだくれの女ごころを歌い上げます。(「飲んだくれ」の部分は、私の誇張です)
本アルバムは1953~55年に録音されたキャピトル盤です(モノラル)。あまりに売れたので、1960年にステレオ録音で再製作されています。本アルバムは白黒ジャケットで、目を閉じているジューン・クリスティですが、ステレオ録音のほうは、カラージャケットで、目を開けているクリスティになっています。(その後、何度も再発されていくうち、ごちゃごちゃになったものもでまわったらしい.......)ほんとに飲んだくれだったらしく、1960年ごろは、のどをあらし、歌唱力は落ちていて、ステレオ録音の「サムシング・クール」よりも、こちらモノラル録音盤のほうが、評価が高い、というのが、一般的なようです。 ちなみに、参加ミュージシャンの名前をちょっと列記してみると.................
メイナード・ファーガソン、ショーティ・ロジャース(tp) バド・シャンク(as) テッド・ナッシュ(ts,fl) バーニー・ケッセル(g) ジョー・モンドラゴン(b) アルビン・ストーラー、シェリー・マン(ds) 等々。スタン・ケントン楽団というと、前任者アニタ・オディ、そしてジューン・クリスティ、後任者クリス・コナーが有名ですが、スタン・ケントンが一番かっていたのは、ジューン・クリスティだったみたいです。(その後、最終的にはクリス・コナーが成功したのかも......) 1940年代のスウィングスウィングした感じもいいですが、50年代のなんか、ほのぼのとした感じの、まったりした感じが、好きです。