続くM3「Darn that dream」になると、一転してバラード曲。 しっとりとしたピアノのイントロ。「毎晩わたしはあなたの夢を見る。 あなたは愛しているといい、私を強く抱きしめる。でも、目が覚めると、 あなたはいない」というスタンダード曲を、情感たっぷりに歌い上げる。 次はデクスターの軽快な自作曲「Number four」。
M5は再び歌うようなデクスター節が聴ける「Autumn in New York」。 楽器を鳴らし切っている名ブロー。あのソニー・ロリンズも脱帽した演奏。 マイルス・デイヴィスやアーマッド・ジャマルは多くのスタンダード・ナンバーを 取り上げて、ジャズメンたちの演奏曲目にしていったが、デクスター・ゴードンも この曲を、そういう存在にした。彼は主演した映画『ラウンド・アバウト・ミッドナイト』で、 ”この曲をどうしても思い出せない”というシーンを演じたが、実際は「自分の存在証明が できる曲」と重要視している。
ラストは再びノリの良い「you can depend on me」。気持ちのいいシンバル・レガート 始まり。このジャズ気分がずっと続いて、アルバムが終わる。曲、演奏、アレンジ、バンドの スイング感。これぞジャズ!的快感が最後まで持続する。