私が子供の時、我家の物置に古い手廻し蓄音機があった。SP盤も数十枚あり、私たち幼い兄弟は玩具代わりにこれら古いレコードを取っ換え引っ換え聴いて、昔のことを想像し楽しんだ。
SP盤の多くは、難解な浪曲や藤山一郎などが歌う歌謡曲であったが、中に「茶目子の一日」という、子供が歌うおもしろい曲があった。大正期(?)頃の東京の下町と思しき所がこの曲の舞台で、茶目子という子の、朝起きてから夜床に就くまでの比較的平凡な一日を歌ったものだが、私たちとは時代背景が違うのでとても新鮮な感じがしたものだ。
実は、高橋クミコさんの「茶目子」はまだ聴く機会がない。現代の歌い手がどのように「茶目子」を歌い表現しているのか、たいへん興味深い。