「死と乙女」は1950年、「ロザムンデ」は翌1951年のモノラル録音。シューベルトの弦楽四重奏曲でも有名な2曲。名立たる四重奏団が録音を競っている。この四重奏団の名声を伝え聞いても、録音技術の進展を併せ考えれば、手を出し辛い。
しかし、この盤を聴いて、一切は覆った。先ず音がモノラルの域を超えている。そして何より音に豊潤さ、深遠さがある。そればかりか不思議な程に清新であり、抒情性豊かでもある。バイオリン2本、ビオラ、チェロ各1本で、よくもこれほどの音楽を生み出し得たものだ。微細なところを含め曲想は、余すことなく表現されている。2曲とも、その第一音からして、全く違う。次第に聴く心は鷲掴みにされてしまう。名演中の名演、正しく弦楽四重奏の醍醐味ここにあり。決して過言でなく、H.Mさんに付け加え、二聴も、三聴もお勧めしたい。