イアン・カーティスの言葉は、今もなお美しく悲しい。
もっぱら自分自身の生き方に向けられていた、真面目さのベクトル。
そのことが常に彼を追い詰め、破綻へと導いたのでしょうか。
この作品は、彼の死という対価を支払い残されたものですが、ただダークというだけでなく、あくまでもエンタテイメントの淵に留まろうとする強い意志を感じます。
そのために、ゆっくりと深度を増していくカーティスの独白は、決してひかりを失うことはありません。
他に類を見ない黒光りするような美しい曲の数々は、まるで漆黒の闇に向かう葬列のようです。