1988年リリース。現代のロック・ミュージックを聴いている方たちは、おそらくこのバンドの事を知らないと思う。一方、オールド・ロック・ファンにとっては、忘れられないのが、このカナダのトリオ、ラッシュなのだ。特に、このライヴは、多くのプログレッシブ・ロックのライヴ・アルバムの中でも、知る人ぞ知る名盤だ。
ラッシュは、ゲディー・リー(b.vo.key.pedal-b)、アレックス・ライフソン(g)、ニール・パート(ds)からなる三人組なのだが、特に、ゲディー・リーが驚異的なベース・ラインを奏でながら、歌い、時に、キーボードやペダル・ベースを演奏する。これがホントに凄い。それが、このアルバムではホントに彼らのベスト盤かと思うくらいにいい曲ばかり連発でやってくれるので余計に惹き込まれる。そして13曲目の『Time Stand Still』で頂点を極める。
そして、ラッシュは未だに現役で、ライヴ盤も『Time Machine 2011:Live in Cleveland』を2011年11月8日リリースしてくれている。2011年4月15日、オハイオ州クリーブランドで収録。同時にDVDもリリースされている。
ぼくにこのバンドの存在を教えてくれたのは中学の同級生で、高校生の頃、一枚一枚と買い集めたLPレコードを持ち寄り、あれが良いこれが良いと薫陶を受けた。その中で今でも印象に残っているのが、『Moving Pictures』に入っていた『Red Barchetta』→『YYZ』のボーカルとギターの見事さと新しさだった。その同級生が数年前に若くして亡くなってしまい、その中でこのアルバムが登場し、今の今、『Moving Pictures』に入っていた『Red Barchetta』→『YYZ』を生で見事に再現してくれるのを聴いて胸が詰まった。
彼らを青春時代に聴き、彼らの未だ衰えることのないエネルギーに元気をもらっているのはぼくだけでは無いようで、このアルバムは全米の2012年アマゾンの売上ランキングのロック部門でベスト10入りしている。こういうアルバムを聴く時、ロックっていいなぁ、と思うのだ。