・Eratoレーベルから出ていたラベック姉妹のディスク、知る限りその3枚のうち最も入手困難な1枚ですが、最も素晴らしい内容だと
思いました。
・1972年1月18日の録音とのこと。姉妹は20歳を過ぎたばかり。後にガーシュウィンで注目される8年も前ですが、非常に音が立っているというのか、
最良の意味で尖っていて、名曲路線を歩まされる以前に、本当に自分たちが選んだ好きな現代曲をやっているという感じが正直に音に出ていて、
非常に小気味が良いです。
・LP1枚分、40分ほどのディスクですが鮮烈な躍動感がまぶしいほど。しかし勢いだけで押す感じではなく、精妙な音使いです。
マルティヌーもヒンデミットもこれを聴いたらおそらく彼女らのために2台ピアノ曲をもっと書いたに違いありません。
ヘッドホンで聴くと左右からはっきり2台ピアノが分離して聴こえ、頭蓋の中央で姉妹のピアノがぶつかったりしゃべったりする。
以後の録音だと左から聴こえる姉カティアの呻きはまだないですが、呑気な連弾曲も2台ピアノによる真摯かつ華のあるドラマとして蘇らせた
姉妹の真骨頂はすでに明らかです。