Amazonレビュー
活発で、複雑で、ジャンル横断的な本作『I Care Because You Do』は、どのトラックを取っても時代遅れの感がまったくない。どんなに意地悪な見方をしようと、だ。リチャード・ジェイムスの仕事は一切のジャンルの壁を越え、熱心なリスナーを魅了し続けている。この点、いかにもイギリスの悪ガキっぽいジェイムスのセンスが貢献しているのは無視できない。アルバム・タイトルからして、すでにアイロニー全開だ。
本作はジェイムスの奇妙で私的な世界への入り口である。シンフォニック・サウンド、厳しさ、リラックス感、不安さ等々、さまざまな表情が現れるが、やがてそれらすべてが一体化してゆく。抜け目なく構成され、モダンで充実した内容だ。かつて批評家たちがジェイムスの突然変異的な“アンビエント・テクノ”を理解しようと頭をひねり、彼をフィリップ・グラスやスティーヴ・ライヒといったミニマル音楽の作曲家たちと比べたのもうなずける。ジェイムスがこの2人のパイオニアに影響を受けたのは明らかだが、彼の音楽はもっと先を見ている。音楽、いや、サウンドに対する人間の知覚を拡張しようとしているのだ。(Mike McGonigal, Amazon.com)
メディア掲載レビューほか
リチャード・ジェイムス=エイフェックス・ツインのアルバム。全12曲収録。 (C)RS