『キッズ』のサントラ盤で一気にメジャー感を強めたフォーク・インプロージョンの中心メンバー、ルー・バーロウのもうひとつの(あといくつあるのか本当のところは知らないけど)プロジェクトがセバドー。いや、こっちのほうが本家かな。
キング・オブ・インディーズ。4トラックの王者。むちゃくちゃ気合いの入っていないような、スキだらけのような、それでいてハードエッジな宅録サウンドを作る連中で。でも、そのパラドックスだらけの肌触りがなんとも不思議な吸引力を持っている、と。以前のアルバムに対してはそんな印象をぼくは抱いていた。が、フォーク・インプロージョンのガレッジ・シーンでの本格ブレイクを経て、セバドーもちょっと様子が変わった。相変わらず精神的エッジはきいているものの、物理的な音の手触りが曲によっては以前にくらべてよりなめらかに。あるいは、よりタイトに。よりキャッチーに。昔からの支持者には"わかりやすくなっちゃって、つまんね-よ"と文句言われそうな展開ですが。でも、これはたぶんセバドーが小さく閉じこもっていたある種の予定調和に満ちた箱庭的世界から一歩、外の世界に足を踏み出し、より緊張感あふれる活動を目指そうとしている証拠なんだろう。これからが彼らのパンク・スピリットの本来的な見せ場だ。かつてのソニック・ユースあたりと同じ境遇か。とはいえ歌詞のほうは存分に皮肉で、自虐的で、ねじれてて。いまだ一筋縄にはいかない。歌詞カード見ててもよくわかんないとこが多いけど。刺激に満ちたパラドックスを内包する彼らの歌詞のイメージは、やっぱり魅力的だ。