十代の頃、アナログレコードで繰り返し聴いた、セルのR.シュトラウス。
ムラヴィンスキーのアルプス交響曲を除くと、セル以外の指揮者が振ったシュトラウスはムード音楽みたいで嫌いだった。
ドラマのだめinヨーロッパを観て久々にセルのティルを聴きたくなった♪
許光俊がどこかで書いていたように、シュトラウスの交響詩は本来、誰が振ってもさほど代わり映えのしない音楽である(楽譜が設計図として完成され尽くしており、管弦楽法にスキが無いため)。
よって、とりあえずデフォルトというかキッチリ振っただけでも、自動的かつ効果的にティルの愉快な物語が眼前に展開される。
ティルの演奏解釈の違いはせいぜい、場面場面の強調箇所の取捨選択の違いでしかない。
ただし、ここに例外が存在する。
セルのティルは、肥大化する無意識の衝動に動かされた悪戯者ではなく、最初っから計算づくのインテリ政治犯のようだ。
ところで、セルが指揮者として活動する端緒は、R.シュトラウスの薫陶を受けたことによる。
作曲者の弟子とも言えるセルが、最も標準のイメージから離れた演奏をしてるのだから、音楽とは面白いものだ♪
千秋は三次予選のジャンのティルを聴き、動揺し、自分の演奏が出来なかったことにより、悟りを開いた(?笑)。
結果的に本選で、より高い次元の演奏が出来たのは時の綾。
もしもあの時、片平が千秋を誘っていなければ、きっと千秋は三次予選でこういう演奏を展開したことであろう!!ってのがこのセルの演奏さぁ♪
審査員が言ったように、千秋のベースとなる持ち味は「強い意志と知性」。
まさにセル(やムラヴィン)の音楽そのものではないか!!
私が聴いたセル以外のティルは全て★2つ(カラヤン、小林、ジンマン等。フルヴェンはさすがに振幅がデカかったが)。
千秋が実在して本選の演奏をしたら★5つだよなあ…。
てことでセル盤★4つです♪爆