Amazonレビュー
パトリシア・バーバーはシカゴを中心に活動するピアノの弾き語り歌手である。2000年に発売された『モダン・クール』が日本デビュー作だ。そこでは自作のほか、ドアーズやポール・アンカの曲なども歌っていて、ジャズ系のシンガー・ソングライターとでもいった感触だった。
それに対し、本作はスタンダード集ともいえる内容。しかし語り口はやはり独特で、語るように囁くように歌う物憂げなヴォーカルは、強烈な個性に彩られている。あえて表現するなら、シャーリー・ホーンを若くして、そこにカサンドラ・ウィルソン的要素を加えたモノクローム色の歌手、とでもなるだろうか。
3種類のリズム隊と共演しており、最もジャジーな味を出しているのは、10曲中5曲に付きあっているマーク・ジョンソン(ベース)&アダム・ナスバウム(ドラムス)組。アップ・テンポのことが多い曲もぐっとテンポを抑えて歌っており、全編アンニュイなムードに包まれている。独自のフレージングが新鮮な<3>が印象的。フランス語で歌う<11>は彼女にぴったりの選曲だ。 (市川正二)
メディア掲載レビューほか
米国での高い評価を受けた前作『モダン・クール』によって一躍時の人となったパトリシア・バーバー。全曲スタンダードという構成の本作は、ブルーノートにおけるその新しい挑戦の一枚だ。
-- 内容(「CDジャーナル」データベースより)