私にとってドロンは生まれて初めて前売券を買って観た作品の主演男優であり、以来思い入れたっぷりの役者さんなので、どんなヘボい作品であっても貶すことは出来ない。
荒唐無稽でご都合主義の極みのような作品は何本かあったが、貶したくても貶すような酷い作品にはお目に係った事がないのが正直なところだ。
なのでアラン・ドロン主演作品についての私のレヴューはかなり依怙贔屓しているので、あまり参考にならないかもしれないが、本作は掛け値なしに素晴らしい。
76年のお正月映画として大阪梅田の北野劇場で公開された本作は「ジョーズ」と言うお化け映画に興行的に全く太刀打ち出来ず5週間で打ち切り。
当時中学生だった私は観ようかどうか悩んでいる内に上映終了となってしまい、2番館でなんとか鑑賞。VHSヴィデオが発売された時は即購入。
なのにパラマウント ホーム エンタテインメント ジャパンからDVDがリリースされた時はスルーしてしまい、角川書店からリリースされたブルーレイが昨年1月に2,424円で叩き売られていたのでついに購入しました。
以下はVHSヴィデオのパッケージに記載された解説を転載します。
生涯に36件もの殺人を犯し、フランス犯罪史上、最も冷酷で凶悪な殺し屋と言われたエミール・ビュイッソン(ジャン=ルイ・トランティニャン)と567人もの犯罪者を逮捕した凄腕刑事(字幕ではスーパー刑事)
ロジェ・ボルニッシュ(ドロン)との1947年から3年間に亘って繰り広げられた息詰まる死闘。表情すら変えることなく次々と殺人を犯す殺し屋をボルニッシュはあらゆる手を使って追い詰めてゆくが
今日もまた残虐な殺人事件が発生するのだった...
ちなみにドロンはボルニッシュ本人が執筆した原作にいたく感動し、ボルニッシュに何度も会って演技上のアドバイスを受けたそうです。
本作はドロンが主演した過去の犯罪アクション物の中ではかなり地味な方だと思います。ドンパチシーンは余りありませんし、人はそれなりに死にますが、むやみやたらに撃ち殺しされたりするシーンはありません。
どちらかと言えば追う側の地道な捜査を丹念に描いた作品です。しかしそれが却って緊迫感を増す事になり、見応え充分な作品となっています。
勿論アクションの見せ場も用意されており、個人的にはボルニッシュがビュイッソンを追って窓から向かい側の屋根に7メートルぐらい飛び降りるシーンが『おぉスゲェ』と思いました。
この飛び降りるシーンはスタントマンがやってますが、ドロンのスタントマンは飛び降りた弾みで屋根から更に落っこちてます。あれはどう見ても台本にはなかったと思いますね。セットだから屋根から下は1メートルもなかったでしょうが。
本作は敵役のジャン=ルイがこれまたカッコイイんですね。全編無表情で、正に何を考えているのか解らん凶悪犯を見事に演じ切っています。「殺しが静かにやって来る」のサイレンスと匹敵する名演だと思ってます。
本作はこの2人が共演したからこそ素晴らしい作品となったのではないでしょうか。
それとそれ以外の脇を固める役者たちもフランス映画界の名バイプレイヤー勢揃いと言った感があります。
ビュイッソンの一の子分役レナート・サルヴァトーリ、ビュイッソンを警察にチンコロする裏切り者役にポール・クロシェ、クライマックスの舞台となるとレストランのオーナー役ジャック・マラン等など枚挙にいとまなし。
中で紅一点と言っても良いクロディーヌ・オージェはボンドガールの頃の若さと色気はなくなっていますが、清楚でお淑やかな雰囲気が感じられ、ボルニッシュの恋人カトリーヌ役にピッタリ。
フリック・ストーリー【字幕版】 [VHS]
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商品の説明
レビュー
名優ジャン=ルイ・トランティニャンとアラン・ドロンとの競演が話題になったフィルムノワール。フランス史上まれに見る冷酷な殺人鬼と敏腕刑事の息詰まる死闘を描く。
-- 内容(「VIDEO INSIDER JAPAN」データベースより)
登録情報
- 監督 : ジャック・ドレー
- 発売日 : 2000/9/27
- 出演 : アラン・ドロン
- 販売元 : 東北新社
- ASIN : B00005HLXU
- ディスク枚数 : 1
- カスタマーレビュー:
イメージ付きのレビュー
5 星
不世出の二枚目大スター、ドロン演じるスーパー刑事が最高にイカシテル
私にとってドロンは生まれて初めて前売券を買って観た作品の主演男優であり、以来思い入れたっぷりの役者さんなので、どんなヘボい作品であっても貶すことは出来ない。荒唐無稽でご都合主義の極みのような作品は何本かあったが、貶したくても貶すような酷い作品にはお目に係った事がないのが正直なところだ。なのでアラン・ドロン主演作品についての私のレヴューはかなり依怙贔屓しているので、あまり参考にならないかもしれないが、本作は掛け値なしに素晴らしい。76年のお正月映画として大阪梅田の北野劇場で公開された本作は「ジョーズ」と言うお化け映画に興行的に全く太刀打ち出来ず5週間で打ち切り。当時中学生だった私は観ようかどうか悩んでいる内に上映終了となってしまい、2番館でなんとか鑑賞。VHSヴィデオが発売された時は即購入。なのにパラマウント ホーム エンタテインメント ジャパンからDVDがリリースされた時はスルーしてしまい、角川書店からリリースされたブルーレイが昨年1月に2,424円で叩き売られていたのでついに購入しました。以下はVHSヴィデオのパッケージに記載された解説を転載します。生涯に36件もの殺人を犯し、フランス犯罪史上、最も冷酷で凶悪な殺し屋と言われたエミール・ビュイッソン(ジャン=ルイ・トランティニャン)と567人もの犯罪者を逮捕した凄腕刑事(字幕ではスーパー刑事)ロジェ・ボルニッシュ(ドロン)との1947年から3年間に亘って繰り広げられた息詰まる死闘。表情すら変えることなく次々と殺人を犯す殺し屋をボルニッシュはあらゆる手を使って追い詰めてゆくが今日もまた残虐な殺人事件が発生するのだった...ちなみにドロンはボルニッシュ本人が執筆した原作にいたく感動し、ボルニッシュに何度も会って演技上のアドバイスを受けたそうです。本作はドロンが主演した過去の犯罪アクション物の中ではかなり地味な方だと思います。ドンパチシーンは余りありませんし、人はそれなりに死にますが、むやみやたらに撃ち殺しされたりするシーンはありません。どちらかと言えば追う側の地道な捜査を丹念に描いた作品です。しかしそれが却って緊迫感を増す事になり、見応え充分な作品となっています。勿論アクションの見せ場も用意されており、個人的にはボルニッシュがビュイッソンを追って窓から向かい側の屋根に7メートルぐらい飛び降りるシーンが『おぉスゲェ』と思いました。この飛び降りるシーンはスタントマンがやってますが、ドロンのスタントマンは飛び降りた弾みで屋根から更に落っこちてます。あれはどう見ても台本にはなかったと思いますね。セットだから屋根から下は1メートルもなかったでしょうが。本作は敵役のジャン=ルイがこれまたカッコイイんですね。全編無表情で、正に何を考えているのか解らん凶悪犯を見事に演じ切っています。「殺しが静かにやって来る」のサイレンスと匹敵する名演だと思ってます。本作はこの2人が共演したからこそ素晴らしい作品となったのではないでしょうか。それとそれ以外の脇を固める役者たちもフランス映画界の名バイプレイヤー勢揃いと言った感があります。ビュイッソンの一の子分役レナート・サルヴァトーリ、ビュイッソンを警察にチンコロする裏切り者役にポール・クロシェ、クライマックスの舞台となるとレストランのオーナー役ジャック・マラン等など枚挙にいとまなし。中で紅一点と言っても良いクロディーヌ・オージェはボンドガールの頃の若さと色気はなくなっていますが、清楚でお淑やかな雰囲気が感じられ、ボルニッシュの恋人カトリーヌ役にピッタリ。
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2021年5月2日に日本でレビュー済み
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私にとってドロンは生まれて初めて前売券を買って観た作品の主演男優であり、以来思い入れたっぷりの役者さんなので、どんなヘボい作品であっても貶すことは出来ない。
荒唐無稽でご都合主義の極みのような作品は何本かあったが、貶したくても貶すような酷い作品にはお目に係った事がないのが正直なところだ。
なのでアラン・ドロン主演作品についての私のレヴューはかなり依怙贔屓しているので、あまり参考にならないかもしれないが、本作は掛け値なしに素晴らしい。
76年のお正月映画として大阪梅田の北野劇場で公開された本作は「ジョーズ」と言うお化け映画に興行的に全く太刀打ち出来ず5週間で打ち切り。
当時中学生だった私は観ようかどうか悩んでいる内に上映終了となってしまい、2番館でなんとか鑑賞。VHSヴィデオが発売された時は即購入。
なのにパラマウント ホーム エンタテインメント ジャパンからDVDがリリースされた時はスルーしてしまい、角川書店からリリースされたブルーレイが昨年1月に2,424円で叩き売られていたのでついに購入しました。
以下はVHSヴィデオのパッケージに記載された解説を転載します。
生涯に36件もの殺人を犯し、フランス犯罪史上、最も冷酷で凶悪な殺し屋と言われたエミール・ビュイッソン(ジャン=ルイ・トランティニャン)と567人もの犯罪者を逮捕した凄腕刑事(字幕ではスーパー刑事)
ロジェ・ボルニッシュ(ドロン)との1947年から3年間に亘って繰り広げられた息詰まる死闘。表情すら変えることなく次々と殺人を犯す殺し屋をボルニッシュはあらゆる手を使って追い詰めてゆくが
今日もまた残虐な殺人事件が発生するのだった...
ちなみにドロンはボルニッシュ本人が執筆した原作にいたく感動し、ボルニッシュに何度も会って演技上のアドバイスを受けたそうです。
本作はドロンが主演した過去の犯罪アクション物の中ではかなり地味な方だと思います。ドンパチシーンは余りありませんし、人はそれなりに死にますが、むやみやたらに撃ち殺しされたりするシーンはありません。
どちらかと言えば追う側の地道な捜査を丹念に描いた作品です。しかしそれが却って緊迫感を増す事になり、見応え充分な作品となっています。
勿論アクションの見せ場も用意されており、個人的にはボルニッシュがビュイッソンを追って窓から向かい側の屋根に7メートルぐらい飛び降りるシーンが『おぉスゲェ』と思いました。
この飛び降りるシーンはスタントマンがやってますが、ドロンのスタントマンは飛び降りた弾みで屋根から更に落っこちてます。あれはどう見ても台本にはなかったと思いますね。セットだから屋根から下は1メートルもなかったでしょうが。
本作は敵役のジャン=ルイがこれまたカッコイイんですね。全編無表情で、正に何を考えているのか解らん凶悪犯を見事に演じ切っています。「殺しが静かにやって来る」のサイレンスと匹敵する名演だと思ってます。
本作はこの2人が共演したからこそ素晴らしい作品となったのではないでしょうか。
それとそれ以外の脇を固める役者たちもフランス映画界の名バイプレイヤー勢揃いと言った感があります。
ビュイッソンの一の子分役レナート・サルヴァトーリ、ビュイッソンを警察にチンコロする裏切り者役にポール・クロシェ、クライマックスの舞台となるとレストランのオーナー役ジャック・マラン等など枚挙にいとまなし。
中で紅一点と言っても良いクロディーヌ・オージェはボンドガールの頃の若さと色気はなくなっていますが、清楚でお淑やかな雰囲気が感じられ、ボルニッシュの恋人カトリーヌ役にピッタリ。
荒唐無稽でご都合主義の極みのような作品は何本かあったが、貶したくても貶すような酷い作品にはお目に係った事がないのが正直なところだ。
なのでアラン・ドロン主演作品についての私のレヴューはかなり依怙贔屓しているので、あまり参考にならないかもしれないが、本作は掛け値なしに素晴らしい。
76年のお正月映画として大阪梅田の北野劇場で公開された本作は「ジョーズ」と言うお化け映画に興行的に全く太刀打ち出来ず5週間で打ち切り。
当時中学生だった私は観ようかどうか悩んでいる内に上映終了となってしまい、2番館でなんとか鑑賞。VHSヴィデオが発売された時は即購入。
なのにパラマウント ホーム エンタテインメント ジャパンからDVDがリリースされた時はスルーしてしまい、角川書店からリリースされたブルーレイが昨年1月に2,424円で叩き売られていたのでついに購入しました。
以下はVHSヴィデオのパッケージに記載された解説を転載します。
生涯に36件もの殺人を犯し、フランス犯罪史上、最も冷酷で凶悪な殺し屋と言われたエミール・ビュイッソン(ジャン=ルイ・トランティニャン)と567人もの犯罪者を逮捕した凄腕刑事(字幕ではスーパー刑事)
ロジェ・ボルニッシュ(ドロン)との1947年から3年間に亘って繰り広げられた息詰まる死闘。表情すら変えることなく次々と殺人を犯す殺し屋をボルニッシュはあらゆる手を使って追い詰めてゆくが
今日もまた残虐な殺人事件が発生するのだった...
ちなみにドロンはボルニッシュ本人が執筆した原作にいたく感動し、ボルニッシュに何度も会って演技上のアドバイスを受けたそうです。
本作はドロンが主演した過去の犯罪アクション物の中ではかなり地味な方だと思います。ドンパチシーンは余りありませんし、人はそれなりに死にますが、むやみやたらに撃ち殺しされたりするシーンはありません。
どちらかと言えば追う側の地道な捜査を丹念に描いた作品です。しかしそれが却って緊迫感を増す事になり、見応え充分な作品となっています。
勿論アクションの見せ場も用意されており、個人的にはボルニッシュがビュイッソンを追って窓から向かい側の屋根に7メートルぐらい飛び降りるシーンが『おぉスゲェ』と思いました。
この飛び降りるシーンはスタントマンがやってますが、ドロンのスタントマンは飛び降りた弾みで屋根から更に落っこちてます。あれはどう見ても台本にはなかったと思いますね。セットだから屋根から下は1メートルもなかったでしょうが。
本作は敵役のジャン=ルイがこれまたカッコイイんですね。全編無表情で、正に何を考えているのか解らん凶悪犯を見事に演じ切っています。「殺しが静かにやって来る」のサイレンスと匹敵する名演だと思ってます。
本作はこの2人が共演したからこそ素晴らしい作品となったのではないでしょうか。
それとそれ以外の脇を固める役者たちもフランス映画界の名バイプレイヤー勢揃いと言った感があります。
ビュイッソンの一の子分役レナート・サルヴァトーリ、ビュイッソンを警察にチンコロする裏切り者役にポール・クロシェ、クライマックスの舞台となるとレストランのオーナー役ジャック・マラン等など枚挙にいとまなし。
中で紅一点と言っても良いクロディーヌ・オージェはボンドガールの頃の若さと色気はなくなっていますが、清楚でお淑やかな雰囲気が感じられ、ボルニッシュの恋人カトリーヌ役にピッタリ。
このレビューの画像
2021年6月13日に日本でレビュー済み
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パラマウント盤よりも日本語吹き替え収録の分良くなっている。実在した凶悪犯人とスーパー刑事の逮捕劇を緊迫した演出で描いた。この作品の楽しみ方に食べるシーンがある。張り込み中のフランスパンを頬張るシーン、犯人がエスカルゴをほじりながら食べるシーン、さらには田舎のレストランに於ける刑事たちの食事シーン。実に日常的である。エンドロールに流れるクロード・ボランの音楽が実に渋い。
2014年2月20日に日本でレビュー済み
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想ったよりも.・・・期待.ハッキリ言って外れの.中身の薄い作品ですね(そろった俳優)の.割には。
2012年6月24日に日本でレビュー済み
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この時代の役者たちは日仏米を問わずいい顔をした連中が多い。こういう犯罪実録ものだと今風の
衛生的なイケメン役者たちにはとてもじゃないが演じきれないのではないか。この作品には今や絶滅
に瀕した「シブい顔」の役者たちが勢ぞろいしているので嬉しい。
ボレックを演じたモーリス・バリエ(1934〜)にエミールの兄アンドレ・プース(1919〜2005)。
暗黒街を知り抜いたニヒルな感じがたまらない。密告屋に仕立て上げられたレーモンのマリオ・ダヴィ
ッド(1927〜96)。イタリア野郎マリオを演じたレナート・サルヴァトーリ(1933〜88)。『ル・ジタン』
や『Z』でもいい演技だった。ヤクザ顔といえばジャノを演じたアドルフォ・ラストレッティ(1937〜)
を忘れちゃいけない。あの目のパッチリしたところに凄みがある。サルヴァトーリやマリオもそうだが、
イタリア系の俳優は顔が濃くてこの手の作品にはもってこいだと思う。そして忘れちゃならないのが
「猫背のポーロ」のポール・クロシェ(1920〜)だ。メルヴィルの作品の常連だが、のちにイヴ・ロベ
ールの『プロヴァンス物語』でこの人が密猟者の役で出てきた時には本当に嬉しかったな。まだ現役で
活躍しているようだ。
刑事の方も負けちゃいない。暴力的なリュシアンを演じたのはドゥニ・マニュエル(1934〜93)で、
メルヴィルの『ギャング』での演技は絶品だった。本作でも神経質ですぐにキレやすいが職務には忠実
な刑事という難しい役どころをみごとにこなしている。売春専門ホテルの亭主を演じたモーリス・ビロー
(1922〜82)はいつもこんな感じでつくづくうまい役者だ。ヤクザでも刑事でも、こういう芸達者な面々
が(そして裏方さんたちの努力が)映画を盛り立てているのだ。監督と主役だけがいくら頑張っても
どうにもならない。
冒頭、舗道を早足で歩くボルニッシュの足元だけをキャメラは追い続け、ボルニッシュ=ドロンの語りが
それにかぶさる。クロード・ボランの情感あふれる音楽がいい。街並みや衣装、大道具小道具類も戦争
直後のフランスの感じがよく出ていると思う。エミールの逮捕に向かった国家警察の刑事たちが田舎の
宿でとる食事がじつにうまそうで、メシがうまそうにみえるのはいい映画の条件だ。
ボルニッシュの語りで始まるこの映画は、ボルニッシュがキャメラを通じて観客にエミールの最期を
告げる異例の終わり方をする。最後のこのひねりでもって、この映画は絵空事ではなくひとつの時代の
証言であることを、映画みずからが告げることになるのだろう。占領下とその直後の時代の困難な生活、
ゲシュタポの恐怖、いつの世でも変わらぬ金持ちたちの享楽主義、裏切りと仁義、下積み警官の苦節、
などなど、フランスの観客たちはここで過去を振り返って胸に迫るものを感じたのではないか。ドロンが
たんなる美男スターではなく、国民を代表する名優となれたのは、フランス人の琴線に触れるこういう作
品があるからだと思う。本作はもしかすると、『パリの灯は遠く』と並ぶ俳優ドロンの最高傑作かもしれ
ない。
例によってDVDをもっているのに魔が差してBlu-rayも買ってしまった。貧乏なのに。DVDもかなりの
高画質だが、見比べてみるとその画質の差は歴然としている。役者たちの表情、背景の街並み、衣服の
柄など、DVDとは格段の違いがある。特典はDVDと同じで予告篇のみ。『パリの灯は遠く』もBlu-rayに
してくれないかな。それはそうと、Roger Bornicheはまだ存命らしい(1919〜)。Youtubeでその姿をみる
ことができる。原作の翻訳は絶版だが、古書なら1000円くらいで入手可だ。
衛生的なイケメン役者たちにはとてもじゃないが演じきれないのではないか。この作品には今や絶滅
に瀕した「シブい顔」の役者たちが勢ぞろいしているので嬉しい。
ボレックを演じたモーリス・バリエ(1934〜)にエミールの兄アンドレ・プース(1919〜2005)。
暗黒街を知り抜いたニヒルな感じがたまらない。密告屋に仕立て上げられたレーモンのマリオ・ダヴィ
ッド(1927〜96)。イタリア野郎マリオを演じたレナート・サルヴァトーリ(1933〜88)。『ル・ジタン』
や『Z』でもいい演技だった。ヤクザ顔といえばジャノを演じたアドルフォ・ラストレッティ(1937〜)
を忘れちゃいけない。あの目のパッチリしたところに凄みがある。サルヴァトーリやマリオもそうだが、
イタリア系の俳優は顔が濃くてこの手の作品にはもってこいだと思う。そして忘れちゃならないのが
「猫背のポーロ」のポール・クロシェ(1920〜)だ。メルヴィルの作品の常連だが、のちにイヴ・ロベ
ールの『プロヴァンス物語』でこの人が密猟者の役で出てきた時には本当に嬉しかったな。まだ現役で
活躍しているようだ。
刑事の方も負けちゃいない。暴力的なリュシアンを演じたのはドゥニ・マニュエル(1934〜93)で、
メルヴィルの『ギャング』での演技は絶品だった。本作でも神経質ですぐにキレやすいが職務には忠実
な刑事という難しい役どころをみごとにこなしている。売春専門ホテルの亭主を演じたモーリス・ビロー
(1922〜82)はいつもこんな感じでつくづくうまい役者だ。ヤクザでも刑事でも、こういう芸達者な面々
が(そして裏方さんたちの努力が)映画を盛り立てているのだ。監督と主役だけがいくら頑張っても
どうにもならない。
冒頭、舗道を早足で歩くボルニッシュの足元だけをキャメラは追い続け、ボルニッシュ=ドロンの語りが
それにかぶさる。クロード・ボランの情感あふれる音楽がいい。街並みや衣装、大道具小道具類も戦争
直後のフランスの感じがよく出ていると思う。エミールの逮捕に向かった国家警察の刑事たちが田舎の
宿でとる食事がじつにうまそうで、メシがうまそうにみえるのはいい映画の条件だ。
ボルニッシュの語りで始まるこの映画は、ボルニッシュがキャメラを通じて観客にエミールの最期を
告げる異例の終わり方をする。最後のこのひねりでもって、この映画は絵空事ではなくひとつの時代の
証言であることを、映画みずからが告げることになるのだろう。占領下とその直後の時代の困難な生活、
ゲシュタポの恐怖、いつの世でも変わらぬ金持ちたちの享楽主義、裏切りと仁義、下積み警官の苦節、
などなど、フランスの観客たちはここで過去を振り返って胸に迫るものを感じたのではないか。ドロンが
たんなる美男スターではなく、国民を代表する名優となれたのは、フランス人の琴線に触れるこういう作
品があるからだと思う。本作はもしかすると、『パリの灯は遠く』と並ぶ俳優ドロンの最高傑作かもしれ
ない。
例によってDVDをもっているのに魔が差してBlu-rayも買ってしまった。貧乏なのに。DVDもかなりの
高画質だが、見比べてみるとその画質の差は歴然としている。役者たちの表情、背景の街並み、衣服の
柄など、DVDとは格段の違いがある。特典はDVDと同じで予告篇のみ。『パリの灯は遠く』もBlu-rayに
してくれないかな。それはそうと、Roger Bornicheはまだ存命らしい(1919〜)。Youtubeでその姿をみる
ことができる。原作の翻訳は絶版だが、古書なら1000円くらいで入手可だ。
2021年1月7日に日本でレビュー済み
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昔、日曜洋画劇場で観た吹替バージョンでした。今回、Blu-rayで観れて、最高に嬉しかったですね。この作品は、吹替バージョンが入ったモノをずっと待ってたんです!
ありがとうございました。
途中吹替のない所がありますが、全く気になりませんでした。寧ろ、TVではカットされた部分をやっと見ることができた、という気持ちです。
ありがとうございました。
途中吹替のない所がありますが、全く気になりませんでした。寧ろ、TVではカットされた部分をやっと見ることができた、という気持ちです。
2020年1月17日に日本でレビュー済み
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36件の殺人を起こし、フランス犯罪史に残る凶悪殺人鬼ビュイッソン。追い詰めて逮捕した刑事による実話の映画化。まず、刑事側をドロンが演じているのが珍しい。ドロンといえば影のある犯罪者役が多いからだ。ドロンも決して下手ではない役者だが、今作ではジャン=ルイの上手さの引き立て役になってしまった。最後まで計算され尽くした犯人の無表情の演技が素晴らしい。ピアノの横で一瞬だけ感情を出した時の瞳はいつものジャン=ルイ。1947年が舞台ということで、戦後間もないパリの気配が感じられる映画。
2020年6月17日に日本でレビュー済み
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ドロンはやはりかっこいいですねー!
やたらとたばこを吸うのでこちらまで咳がでそうでした。
途中で画面がストップしてしまい最初から見直しましたがまた同じとこでストップしてしまいました。
2箇所そういう場面がありました。
それと最後のに近い箇所で止まりました。
何度も最初から見直しやっとみれれました。
また次に観たときはまた同じ箇所で止まるのですはぁー
中古だったのです。
やたらとたばこを吸うのでこちらまで咳がでそうでした。
途中で画面がストップしてしまい最初から見直しましたがまた同じとこでストップしてしまいました。
2箇所そういう場面がありました。
それと最後のに近い箇所で止まりました。
何度も最初から見直しやっとみれれました。
また次に観たときはまた同じ箇所で止まるのですはぁー
中古だったのです。
2020年10月11日に日本でレビュー済み
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地味なストーリーです。刑事が凶悪犯を如何に捕まえたかというストーリー。銃撃シーンとか派手な場面無し。
アランドロンを観たかったのと、レンタルで無いから買ってみた。
今時の映画と違って、場を盛り上げる為の過剰な音楽が無く、静かに場面が流れていくのが心地よい。当時のドロン主演映画に出てくる脇役の名優たちも見どころ。しかし、よくたばこ吸いますなあ、2時間程度の映画で、主役以外も含めたら20数本タバコを吸ってるし、咥えタバコで良くしゃべる、見てる私が煙たくなる。それと、劇中のフランス警察は容疑者を平気で殴って傷めて締め上げる、時代は70年ほど前の設定ですが、昔の警察はひどいねえ、多分、公開時の45年ほど前も、それがいけないという意識なかったんだろうなあ、とストーリーと関係ないところに中々興味深いものがあったりする映画です。
アランドロンを観たかったのと、レンタルで無いから買ってみた。
今時の映画と違って、場を盛り上げる為の過剰な音楽が無く、静かに場面が流れていくのが心地よい。当時のドロン主演映画に出てくる脇役の名優たちも見どころ。しかし、よくたばこ吸いますなあ、2時間程度の映画で、主役以外も含めたら20数本タバコを吸ってるし、咥えタバコで良くしゃべる、見てる私が煙たくなる。それと、劇中のフランス警察は容疑者を平気で殴って傷めて締め上げる、時代は70年ほど前の設定ですが、昔の警察はひどいねえ、多分、公開時の45年ほど前も、それがいけないという意識なかったんだろうなあ、とストーリーと関係ないところに中々興味深いものがあったりする映画です。