ウイントン・マルサリスは楽々と吹いているので、トランペット吹奏は難しくないのではと思う向きもいるかもしれないが、とんでもない。彼ほどトランペットで歌っている奏者は他にいない。ハイトーンからペダルトーンまでの跳躍や細かなパッセージ等に、無理や苦しさが一切なく、心から音楽を感じる。
本CDの以前に、『バロック・トランペットの響き』というタイトルで、エディタ・グルベローヴァと共演しており、本CDと重なる曲目もあるものの、興趣が異なるので両CDともお勧めである。
印象としては、エディタ・グルベローヴァは澄み切っていて、キャスリーン・バトルは明るさの中にも少し哀調ありといったところでしょうか。
重なる曲目について、リピートで、ウイントンは前CDではそのまま繰り返しているのに対して、本CDでは繰り返しでアレンジを加え変化をつけている点も楽しめます。
特に、ヘンデルの「アン女王の誕生日のためのオード(頌歌)〜永遠の源よ」は、神々しい曲で癒されます。