設定(文学者同士の恋)そのものは、普段の我々の生活にはあまり馴染みがないかもしれないが、恋の物語としては素晴らしく現実味のある心情描写で、久しぶりにリアリティある恋愛映画を観た気がしている。
彼らの恋は、地に足のつかないあやふやな綱渡り。心の行き違いや環境が、二人を遠ざけたりくっつけたりする。なぜなら、二人の恋は、祝福された、確実な未来のある恋ではないからだ。男女の愛や恋にはゴールがあるというのが一般的あるいは常識的かもしれないが、そうではない場合もある。当初ミュッセは、マダム・サンドの口づけを拒んでこう言う。「あなたを愛することはできない。しかし、僕の心には親友のための場所がある。そこにあなたを」と。なんと素敵な言葉でしょう。ここから、二人の真実の恋がはじまる。なぜなら、真実の恋ほど、はじめは慎重だから。あとは観ていただければ、変転三昧の恋愛物語。「あるある、こういうの〜」と、思わず泣けてくる・・・かも?