内戦のさなかのサラエボを舞台に、とある詩人と内戦で孤児となった子供たちとの交流を描いた作品。
もっとも驚くべきことは、内戦のさなかのサラエボでこの映画が撮られているということ。
廃墟と化した街、車の残骸、スラムなど随所に出てくるが、おそらく実際の内戦の傷跡なのではないかと思わせる力がこれらにはあります。(実際にセットかどうかは不明ですが)
銃を発砲する兵士、逃げる人たち、爆発する家屋、煙立つ街、、、これらのシーンではドキュメンタリーではないかと思うくらいのリアリティが迫ります。
また、ところどころで鳴り響く連続する乾いた銃声がこちらの恐怖心を煽ります。
今まで見た戦争映画とは何かが違う。緊迫感がある。
フィクションには思えない何かがこの映画には表現されています。
とは言えストーリーでよく理解できない所が自分にはあるのも事実。それはストーリーが悪いというわけではなく、なんでこうなるのさ?という、自分とは違う感性の持ち主にぶち当たって「理解できない」所なのかもしれませんが…。
戦争の実情と、それに翻弄される人びとの顔、街の姿がリアルに表現されている作品だと感じました。
そして、そのリアルさこそが心を打つのだと思います。
97年作品(ボスニア=フランス)