68年発表の3rd。タイトル通り68年に発表された作品で長らく所属したフィリップスからのラスト作にもなった。マッチョなジャケットも彼女のイメージからはちょっと違う印象を受けるが、内容も前作までとは少し趣を変えて David Whitaker (8曲)、Alain Goraguer (4曲)がほぼ全編でオーケストレーションを加えており、繊細かつゴージャスなサウンドを生み出している。そんな中でも光っているのはやはりセルジュ作の9.であり、彼の彼女に対する貢献(イメージ戦略や意地悪な歌詞を含めて)は大きかったと言わざるを得ない。
1.はいきなり室内楽的な美しいストリングスが登場するフォーク・ロックをベースにしたポップスで、近年のチェンバー・ポップスに直結する佳曲。拙い彼女のヴォーカルはどれだけバックが変化しても不変だが、この曲においてはちょっぴり自信のようなものを感じさせ高域では張りのようなものを感じさせる。2.はシタールやダブラなどのインド・パーカッションに木管、弦を加えたオリエンタルなアレンジで、中近東的なメロディも一部で取り入れられているが、甘い彼女の声で歌われれば可愛らしさの方が勝ってしまう。実のところは複雑なメロディ展開の曲だが、それをポップスに聞かせてしまうのは彼女の力量も大きいはずである。3.は既製路線に室内楽的なストリングスを加えた曲。まさにチェンバー・ポップスといった仕上がりである。4.はビート・ポップス路線の曲だが、ドラムスが妙にジャズっぽいのが良いアクセントになっている。