Amazonレビュー
ジャズファン以外にも人気の高い、パット・メセニー。彼が率いるパット・メセニー・グループのサウンドは、誰もが認める極上ものだ。その反面、1人のギタリストとしての活動も、コンスタントに続けていた。本作は、ギタリスト率いるグループでは最小単位のギタートリオ編成で、仕掛けなしの真剣勝負をそのまま伝えるライヴ盤である。
トリオ編成では過去にも何枚か、ベテランとの共演アルバムをリリースしている。この大物や先輩に胸を借りるパットも、もちろん悪くはない。だが、実力派の若手とも、レギュラーを組み多くのツアーを消化することで、互いに信頼感を手に入れることができる。
そして、満を持してリリースしたのがこのライヴ盤である。相手の心が読めるからできる大胆な攻撃で生まれたスリリングな演奏が、たっぷり収録されている。大物との一期一会では味わえないものだ。DISC1<1>は76年のデビューアルバムのタイトル曲。ジャコ・パストリアス(B)を含むトリオ編成と聴き比べるのも楽しい。パット・メセニーの最高傑作である。(高木宏真)
メディア掲載レビューほか
99年夏から2000年春にかけて行なわれたコンサート・ツアーの模様を収めた2枚組ライヴ・アルバム。欧米や日本での公演から厳選されたベスト・パフォーマンスが収録されているのもうれしい。
-- 内容(「CDジャーナル」データベースより)
昨年来予告されていたメセニー・トリオのライヴが、2枚組でようやく登場。これまでのメセニーを振り返ると、こうした長い行動計画は、あまりなかった気がするが、実はこの悠長さこそ鍵だ。この計画は、ある意味で急な“思いつき”に過ぎないが(したがってメンバー集めも大変だったが、運良く最良の人材が選ばれた)、しかし、この思いつきは、近年メセニーの中で渦巻いていた問題の中央突破を目指したものであることは明らかだ。“ジャズ的なるものをめぐって”の演奏者として100%の荷担。これを長期のライヴ、しかも比較的小さなスペースという“余裕の環境”で、トコトンやった結果がこれである。ジャズを超えるジャズなんて安易に言えない。むしろ、小さな成果、確かな手応えを頼りに耳を傾けたい音楽。いかにもメセニーならではのジャズへの熱いロマンの集積なのだ。そして、技巧派たる由縁をこれほど分からせるアルバムはない。熟聴、そして快聴! (青木和富) --- 2001年01月号 -- 内容 (「CDジャーナル・レビュー」より)