久石氏は北野武監督とどうやって打ち合わせている
のだろうか、久石譲節ではありながらこれは紛れもなく
北野監督のハードボイルドの世界なのだ。
久石氏というと御多分に洩れずジブリが真っ先に頭に
浮かぶ自分ではあるが、その世界に死のイメージはない。
いや、死そのものはあるのだが死を受け入れる静寂が
無いと言えば良いだろうか。
北野監督の映画でBGMを奏でるとき、監督の意向なのか
久石氏のもう一つの顔なのか、その美しいメロディが
まるで知らなかったもう一つの死生観を音にする。
世界は単純構造じゃない、明るさも影も表裏一体だと
頭で分かっているのだが。
ギクリとするほど生々しい「香り」で死が常に身近に
あること…それを受け入れて生きることがリアルな
人生なのだと、この2人の創り上げたアンリアルが
訴えかけてくるのである。