姿三四郎といえば超有名なキャラクターだが、小説は読んだことがなく、このアニメで初めてストーリーを知った。そのため、内容や登場人物の設定が原作と比べてどうだとか、そういう批評はできないが、作品としてはなかなかよかった。
若き日の夏目漱石(金之助)を登場させたのはアニメのオリジナルだと思うが、これは大成功。いいキャラだし、三四郎とのさわやかな友情が、ドラマを優しいものにしていた。三四郎と乙美のロマンスも、純情で共感できる。
肝心の柔道シーンの描写も、結構迫力があった。これは一種の“スポ根もの”と言えるのかもしれないが、努力や根性を押しつけがましく出すとこもなかったし、柔道の派閥争いの部分も、男臭くなりすぎなかったのがよかったと思う。適度に笑いも入れて、ちょっと痛快でさわやかな青春ドラマに仕上がっている。西城秀樹さんと岩崎良美さんの声も、雰囲気をよく出していた。
ただ、弁士役の落語家が、話術は素晴らしいと思うものの、作品全体から見れば、必要なかったのでは? という気もした。また、こういう評価は適切ではないかもしれないが、前作の「坊っちゃん」のほうが良かったかな? と思う部分で、星4つにしておいた。
とにかく、見たあとには心地よい清涼感が残る。文学作品のアニメ化、などと考えずに、楽しんで見てほしい。