作風については賛否両論あると思うが、今作品が"Electronica"だろうが"Hip-Hop"だろうがカテゴライズすることにあまり意味はないと思います。
ただ、この作品でScott Herrenが「ボーカルチョップ」なる手法を多用して以降、一気に似たような音が広まっていったことを考えれば、ある意味でエポックメイキングな作品になったと言えるのではないかと思います。また、概して抽象性の高いElectronicaミュージックとシンプルなループで聴きやすいHip-Hopミュージックをうまくまとめられているのではないかとも思います。
私自身、このアルバムを聴くまではハードコアなHip-Hopを主に聴いていたのですが、このアルバムに衝撃を受けて以来、よりElectronicaよりの音を探し、今ではMerck辺りの音を好んで聴いています。
このアルバムは単純に「乗れる」&「カッコイイ」と思うし、現在人気のBeat系(Flying Lotusなどなど…)が好きな方なら、問題なく聴けるのではないかと思います。
ただ、当のScott Herren自身はこのアルバム以降、徐々により生音を用いた作品を出すようになり、今ではかなり抽象的なサイケミュージック寄りの作風になってきましたので、初めてScott Herrenの作品を聴く方は注意が必要かもしれません。
また、Scott Herrenは精力的なクリエイターで、この「Prefuse73」名義以外にも「savath & savalas」、「 Ahmad Szabo」、「Piano Overlord」、「Delarosa and Asora」など数多くの名義を使い分けており、それぞれの名義ごとに作風も異なります。それらを聴けばこのScott Herrenの多彩なアイデアに驚くかもしれません。
私はこのアルバムの各曲もそうですが、全体を通しての雰囲気が何より好きです。何より、(Madlibにも言えるのですが)次から次に出るそのアイデアに対して、このアルバムを聴いてみる価値があると思います。
長文失礼しました。