吉田達也がそれまでルインズで垣間見せていた「M.D.K」時のマグマ(更に遡ればオルフの「カルミナ・ブラーナ」)への憧憬を現実化したのがこの1枚目であった。歌詞もコバイア語を中心とし、美声の久保田安紀(Key)と男3人によるコーラスの掛け合いは、好きな人には堪えられず、一緒に唄うとえもいわれぬ快感である。
もっともマグマのクリスチャン・ヴァンダーのドラミングが重い音で拍の隙間を空け、グルーブ感と決めのタイミングを徹底的に重要視するのに対し、吉田のドラミングは軽い音で音符の隙間をとことん埋めていくタイプであり、ルインズの延長線上のハードコア色も相まって、高円寺百景が単なるマグマのエピゴーネンであることを防いでいる。