歌えないフロントマン、ボブ・マークリー率いる、ロサンゼルス出身のビートルズやバーズ等に憧れたガレージロック発のグループ、West Coast Pop Art Experimental Band(バンド名が長いのがまた計算高い)の1967年にリリースされた2ndアルバム。1stは自主製作なのでいわゆるメジャーデビューアルバムとなります。
メンバーの演奏能力や歌唱はまだ当時高校生なので、素人然とした青臭いガレージロックでもあるのですが、特筆すべきは、音楽性のまとまりのなさ!前衛的でチープな雰囲気の楽曲と、バーズの直系の憂いを湛えた王道ギターポップといった楽曲の楽差が凄い。リスナーはこのバンドの実態は何なんだ?と当惑させます。でもその自由奔放な音絵巻が面白いのです。
取り上げる楽曲のカバーセンスにしてもフランクザッパ、PFスローン、ヴァンダイクパークス等、知る人ぞ知る気鋭のアーティストであり、自身の身の丈やリスナー目線を無視し、自分の好きなものをセンス一発でやるDJのような感覚は、現代のインディーポップにも近いものを感じます。さらにこのバンドの不思議な所は、売れそうなアルバムでもないのにこの後何枚もアルバムをリリースしていきます。そんなミステリアスさも相まって、好奇心がそそられるグループなのです。
このアルバムが気に入ったら、より変化球方面にシフトしていくことになり前衛的な方面にフォーカスした2nd、ソフトロックやカントリーロックの側面が強くなった3rdもそれぞれ魅力的なのでオススメします。