「ピロスマニ」「ロビンソナーダ」「落葉」・・・・・。
最近話題のグルジア映画だが極めつけは「不思議惑星キン・ザ・ザ」だろう。
ナンセンスというよりもキュートなユーモアが全編に流れるSFコメディだが、この映画の音楽を手がけているのが地元の国民的作曲家ギア・カンチェリというのだから驚きだ。
なぜかというと彼は本業の(?)クラシックでは暗い、重い曲ばかり書いているからである。
映画冒頭のテーマ曲が持つ、ちょっとくたびれた感じのコミカルなムードは、とても同じ人が書いたものとは思えない。
このCDはそんな「キン・ザ・ザ」の音楽を含むカンチェリの映画音楽集である。
全編が不思議な魅力で包まれており飽きさせないが、中でも無形世界遺産に登録されているグルジアの!男声ポリフォニーを使ったものは、言葉にできないぐらいの根源的な感動を起こさせる素晴らしいものである。
あの色彩感覚といい、このポリフォニーといい、グルジアには芸術という宝が脈々と受け継がれているようである。
あとカスピ海ヨーグルト!
何とも不思議な国だ。
この不思議な音楽がこの国の豊かな特色を端的に物語っているのかもしれない。